使い捨てられる物たちの声
新しいものが次々と生まれ、古いものは簡単に捨てられていく現代。便利で豊かになったはずなのに、なぜか心の中に空虚感を感じることはありませんか。戦後の何もない時代を知る者として、今の使い捨て文化を見ていると、私たちは物質的には豊かになっても、何か大切なものを置き忘れてきたような気がしてならないのです。
例えば祖母から受け継いだ茶碗。縁が少し欠けていても、その欠けた部分に金継ぎが施されると、かえって美しい景色となる。新品の頃より味わい深い。これが物を慈しむということなのです。完璧でなくても、むしろ傷や欠けがあるからこそ、その物は唯一無二の存在となり、私たちの人生の一部となっていくのです。
物は単なる道具ではありません。それは私たちと共に時を重ね、思い出を刻み、愛情を受け止めてくれる、静かな同伴者なのです。今日は、物との対話が教えてくれる、本当の豊かさについて考えてみましょう。
時を重ねることで深まる物語
この続きはcodocで購入