心を覆う無数の判断
私たちの心は、朝目覚めた瞬間から夜眠りにつくまで、無数の価値判断を繰り返しています。「今日の天気は良いか悪いか」「この服は似合っているか」「あの人の言葉は正しいか間違っているか」─まるで止むことのない波のように、心は常に何かを評価し、分類し、判断し続けているのです。
この心の働きを、東洋の智慧では「分別心」と呼びます。それは物事を二つに分けて考える心の癖のことです。善と悪、美と醜、成功と失敗、正しいと間違っている─このような対立的な枠組みで世界を見る習慣が、実は私たちの心の平安を妨げる大きな要因となっているのです。
しかし、この分別心を責める必要はありません。それは人間が生きていくために必要な機能でもあります。ただ、その働きに気づき、時にはそれを手放すことで、より深い平安と自由を味わうことができるのです。今日は、価値判断を超えた境地について、静かに探求してみたいと思います。
分別心という迷いの正体
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