「責任」という言葉を聞くと、多くの人は重荷や束縛をイメージするかもしれません。責任があるということは、選択の自由が制限され、やらなければならないことが増え、失敗したときには非難を受ける—そんな否定的な連想が生まれがちです。
確かに、表面的に見れば責任と自由は相反するもののように思えます。責任がなければ、好きなことをして、好きな場所に行き、好きな人と過ごす—そんな気ままな生活ができるように感じるでしょう。
しかし、より深く考えると、この見方は逆説的に自分自身を無力化していることに気づきます。「上司が理不尽だから仕事がうまくいかない」「親の教育が悪かったから人間関係がうまくいかない」「社会のせいで成功できない」—このように外部に原因を求める思考パターンは、一見すると自分を守るように見えて、実は自分の可能性を大きく制限しているのです。
「すべてにおいて、自分に責任がある」と考えることは、一見すると厳しい姿勢に思えます。しかし、この視点こそが真の自由への鍵となります。なぜなら、自分に責任があるということは、自分に変化させる力があるということだからです。
例えば、職場の人間関係に悩んでいるとき、「あの人が変わればいいのに」と思っていては何も変わりません。しかし、「自分の対応や姿勢に問題はないか」と自問し、自分の側から変化を起こそうとするとき、状況は動き始めます。相手は変えられなくても、自分の反応や態度は変えられるのです。
人生の主導権を外部環境や他者に委ねず、自らの手に取り戻す—これが責任を引き受けるということです。そしてそれは、「対応できる」という自信、「変化させられる」という可能性、「選択できる」という自由を私たちに与えてくれるのです。
もちろん、世の中には自分の力ではどうしようもない出来事もあります。しかし、そうした状況においても、少なくとも「それにどう反応するか」という選択肢は常に自分の手の中にあります。この小さな、しかし決定的な選択の自由を認識することが、真の意味での自己解放の第一歩なのです。