覚醒者の生き方、考え方

誰しもが幸福になる生き方、考え方を伝授します。

好奇心と専門性のバランス

子供のような好奇心を持ち続けることは、人生を豊かにする大切な要素です。新しい場所を訪れる喜び、未知の分野への探求心、異なる文化への興味—これらが私たちの視野を広げ、人生に彩りを与えてくれます。

しかし、仕事となると状況は少し異なります。「マルチポテンシャライト」という言葉が注目を集め、多様な才能や興味を持つことが称賛される一方で、専門性の深さを軽視する風潮も見受けられます。次から次へと興味の対象を変え、何にも深く取り組まない姿勢は、結果として中途半端な知識や技術の集積に終わることがあります。

特に職業人生においては、ある程度の専門分野を持ち、そこに集中して深く掘り下げることの価値は依然として大きいのです。一つの分野で10年、20年と経験を積み重ねることで初めて見えてくる景色があります。技術の習熟、業界の人脈形成、信頼関係の構築—これらは時間をかけて醸成されるものであり、継続的な関与なしには得られません。

だからといって視野を狭める必要はありません。あるIT企業の創業者は「T型人材」という言葉を使いました。これは、一つの専門分野で深い知識を持ちながら(Tの縦棒)、他の分野に対しても広く興味を持ち、基本的な理解を持つ(Tの横棒)人材を指します。

このバランスが重要なのです。専門性という軸足をしっかりと持ちながら、そこから広がる様々な分野に好奇心を向ける。仕事においてはプロフェッショナルとしての深さを追求しつつ、プライベートでは多様な興味を探求する。または、自分の専門分野を軸としながら、関連する周辺分野への理解を広げていく。

けじめとは、単に興味の幅を狭めることではなく、取り組む深さと時間配分をコントロールする知恵なのかもしれません。好奇心という翼と、専門性という根。この両方があってこそ、私たちのキャリアは豊かに、そして力強く育っていくのではないでしょうか。