いらぬものまで可視化されるようになってしまったのが現代なのではないでしょうか。人には知らなくてよいこと、見なくてもよいことがあります。
スマートフォンの普及により、私たちは24時間365日、世界中の情報にアクセスできるようになりました。しかし、この「知ることができる」という可能性が、「知るべきである」という強迫観念に変わってはいないでしょうか。
世界で起きているすべての出来事を知ることは不可能ですし、そもそも必要ありません。むしろ、過剰な情報は私たちの心を疲弊させ、本当に大切なことへの感度を鈍らせます。
情報との健全な距離感を保つためには、まず「情報の取捨選択」という意識を持つことが大切です。すべての通知を受け取る必要はなく、すべてのニュースをチェックする義務もありません。
一日のうち、特定の時間だけ情報をチェックする「情報の時間」を作る、スマホを置いて過ごす時間を意識的に設ける、SNSのアプリを定期的に整理するなど、小さな工夫から始めてみましょう。
また、「知らないことを知らない」状態を受け入れる心の余裕も大切です。すべてを知り、すべてをコントロールすることは不可能です。その不確かさを受け入れることで、逆に心の自由が生まれるのです。
情報との適切な距離感は、現代を生きる知恵の一つです。質の高い少数の情報を大切にし、自分の内なる声に耳を傾ける時間を守りましょう。